「専門バカ」体質の蔓延が日本をダメにする

日本には「専門バカ」ということばがある。

辞書には「ある限られた分野の事柄には精通しているが、それ以外の知識や社会的常識が欠けていること。また、その人」と解説されている。わたしはもっと広い意味で、自分の専門分野での常識がすべて正しいと思い、ほかの分野のことを考慮しないことというような意味としてこのことばをとらえている。

日本では、このように感染症に限らず、経済的な問題でも、教育の分野でも、専門家に任せればいいという考えが蔓延している。しかし、他分野の人の意見や素朴な疑問をぶつけたほうが有意義なことも多いはずだ。

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経済政策の審議会で、わたしに限らず心理学者が呼ばれるという話は聞いたことはない。あるいは、テレビのさまざまな討論番組で、わたしが専門と思われている教育や老年医療の分野で呼ばれることはあっても、不況回復のようなメンタルの要因が強いと思われる分野でも、呼ばれたことは一度もない。

いっぽう、海外では、たとえば経済の分野で心理学を取り入れるということがトレンドになっている。

心理学を取り入れた経済学の理論である行動経済学は21世紀になってから3回もノーベル賞を受賞しているし、その開祖の一人のダニエル・カーネマンはプリンストン大学の心理学の教授の肩書でノーベル経済学賞を受賞している。

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複数の専門分野の研究者が共同して研究にあたる学際的研究というのも、各学部のセクショナリズムが強い日本ではなかなか進まない。医学部にいたっては、医学を専門とする人同士であっても、専門分野が違う人の共同研究というのはほとんど聞かない。

今回の新型コロナのケースでいえば、免疫学者と感染症学者と呼吸器内科学者と精神医学者というのが共同で研究して、患者の治療や精神的後遺症の予防も含めた総合的な対策を立てるという話は聞いたことがない。

わたしの経験上、専門分野での地位が高いほど、自分の専門分野に関しては、他分野の人の話を聞こうとしなくなる。ビジネスエグゼクティブの人たちも、成功者ほど、自分の分野には口を挟まれたくないだろう。

知らないうちに「専門バカ」体質になっていないかの自己チェックは、賢い人をバカにしないために重要なものだと信じる。

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