※本稿は、加谷珪一『日本はもはや「後進国」』(秀和システム)の一部を再編集したものです。
日本の1人あたりGDPは先進7カ国で下から2番目
組織の中で人が余っている状況を放置し、その人材を有効活用しないと、経済全体に深刻な影響が及びます。最終的には社会の豊かさにも大きく影響してくることになります。
社会の豊かさをもっとも的確に示す指標は1人あたりのGDP(国内総生産)ですが、この指標については「本当の豊かさは測れない」の意見もあります。しかしながら、それは単なる思い込み、あるいはそうあってほしいという願望でしょう。現時点において、1人あたりのGDPほど的確に社会の豊かさを数値化できる指標はありません。
海外に行ったとき、たいていの人が、空港から出た瞬間にその国がどの程度、豊かなのかすぐに実感できると思います。人間の五感というのはたいしたもので、建物や道路などの各種インフラや走っている車、人々の服装などを総合し、あっという間にその地域の経済水準を推測することができます。実際に試してみるとよく分かると思いますが、空港を出てすぐに感じた私たちの直感と、その国1人あたりのGDPの数字はおおよそ一致しているはずです。
日本の1人あたりGDPはかつて世界2位になったこともあり、以前の日本社会はかなり豊かでした。しかし、日本は年々順位を落としており、今となっては先進7カ国で下から2番目となっています。