仕事はできるだけ効率よくスピーディーに進めたいもの。ところが、働き方改革の話題でよく聞かれるのが「日本人は生産性が低い」という評価。みんな真面目に働いているのに、なぜか生産性は低い。いや、実はその真面目さが、生産性を下げている原因かもしれない。労働経済学が専門で、日本人の働き方について詳しい早稲田大学・黒田祥子教授が明かす週50時間の危険ラインとは――。
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働けど働けど、なお生産性は高まらず

1時間働くことで稼ぐおカネ(付加価値)を「時間当たり労働生産性」と呼びます。日本生産性本部が毎年発表するデータによると、日本は47.5ドル(4733円/購買力平価換算)。アメリカの72.0ドル(7169円)に比べると7割に達していません。その状況が25年以上もつづいているのです。

OECDの加盟36カ国のなかでは20位。G7(フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダ)のなかでは、約50年にわたってずっと最下位です。この国際比較を見るかぎり、たしかに日本の生産性は低いということがわかるでしょう。

日本の働き方で、欧米の先進国と大きく違うことがほかにもあります。長時間労働です。OECDの調査では、日本で週50時間以上働く人は約22%です。ドイツの約5%、アメリカの約12%、イギリスの約13%に比較すると、長時間労働が日常化している人は多いといえます。