子どもを追い込む原因の8割は親

本人が何に焦っているのか、何に悩んでいるのかにじっくり耳を傾けることも大事ですが、子どもを追い込んでしまう原因の8割は親の言動だと私は感じています。

多くの親御さんはその自覚をもっていませんが、何気なく発する「このままでは合格できないよ」「このままでは成績がますます下がってしまうよ」といったネガティブな言葉の積み重ねが、子どもをどんどん追い込んでしまっているのです。

もちろん、愛情の裏返しで、おそらくご自身が子供の頃はそのような言葉がけに奮起して育ってきたのでしょうが、今の子どもたちは、ネガティブをポジティブに変換させる力が非常に弱いです。

富永雄輔『それは子どもの学力が伸びるサイン!』(廣済堂出版)
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今の子どもたちを伸ばすセオリーはあくまでも「ほめること」そして「自信をもたせること」なのです。

受験校の選び方でも、チャレンジ校ばかりよりも、ある程度安全校も受験する作戦のほうが気持ち的に楽になり、自信がもてますし、結果的にチャレンジ校にも受かりやすくなります。

愛情の裏打ちがあっても、子どもを追い込んでいる張本人が「何に悩んでいるの?」「何に焦っているの?」と聞き出そうとしても、子どもはなかなか本音は言いません。もっとも子ども自身も原因に気づいていないこともあります。ですから、まずは親御さんご自身が自分の言動を振り返ってみてください。

私の経験上、必要以上に自分を追い込んでしまうのは男の子よりも女の子に多い傾向があると感じます。もちろん個人差はありますが、一般的に男の子より女の子のほうが勉強に真面目なので、思うように成績が伸びなかったりすると、メンタルに大きなダメージを受けてしまいがちです。

男の子の場合は、よくも悪くも勉強に対してあまり深刻に考えない子のほうが多いのですが、とくに女の子の場合は心のケアを常に気に留めておくほうがよいでしょう。そのためにも「勉強している姿」ではなく、その表情をしっかり見てあげてください。近年流行のリビング学習については、こどもの性格や家庭環境によってその効果はまちまちなので、絶対的にいいとも悪いとも一概には言えない部分があります。

ただ、「勉強している子どもの表情を観察しやすい点は確かにメリットです。

・その行動に前向きな気持ちがともなっているか、こどもの表情を見て判断する。
・子どもが追い込まれる原因の多くは親。まずは親が自分の言動を顧みて。
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