マジメな子が焦って勉強するあまり、息切れしてしまい……
自分から机に向かっている姿は「やる気」の表れのように見えて、親は安心してしまいがちですが、最近の子供たちは非常に素直で真面目なタイプが多いため、それが実はネガティブなサインである場合も多いです。
もちろん受験生であれば、「焦るな」というほうが難しいですし、本番まで3カ月を切っているくらい差し迫っている場合なら、その状況でもなんとか乗り越えられるかもしれません。
けれども、受験生ではない、あるいは受験生であっても本番までまだ3カ月以上時間があるにもかかわらず、必要以上に気負ってしまうお子さんは、どこかで必ず息切れしてしまいます。とりわけナイーブなお子さんの場合、途中で心が折れてしまう危険性もあります。
「不安からの勉強」ではなく「前向きな勉強」に向かわせる
普段から、子どもの表情や言動をよく観察して、「あれ?」と思ったら、とにかく手を動かすことをすすめるのもひとつの手です。
たとえば「算数は1桁の計算をひたすらやる」といった簡単なことでもかまいません。「これだけやりきった!」という達成感を感じられることをまずは目指します。すると、徐々に「自己肯定感」が得られて「不安からの勉強」ではなく、「前向きに取り組む勉強」になり、いいスパイラルで学力を上げることができます。
その状態に、親御さんが導いてあげることが大切なのです。
私が代表を務める塾でも「子どもの表情をよく観察する」ことは指導する者の心得として、徹底しています。
子どもをしっかり観察していれば、「がんばっている表情」なのか「追い込まれている表情」なのかはすぐにわかります。
「がんばっている表情」のときはまわりもいっしょになって「イケイケドンドン」と鼓舞するのはとても効果的です。一方「追い込まれている表情」のときは上手にクールダウンさせて、安心材料を与えて自信を取り戻させることを優先します。
ここで親が「しばらく勉強しなくてもいいよ」と声をかけるのも一案ですが、子どもによっては素直に聞けません。そんな場合は、お母さんがついていっしょに勉強するとか、お父さんがついてお父さんは仕事をしているなどの形で、不安を共有することもおすすめします。
それでも「勉強しなくては」という強迫観念をもっている様子が見られるなら、思い切ってしばらく勉強を休ませ、気分転換させるのも大切です。