平凡な学力のわが子を「後伸び」させるにはどうしたらいいのか。中学受験塾代表の富永雄輔さんは、「テストの点数を取らせようと親が対策を立てたり、先取り学習させたり、テストの点数に一喜一憂したりしていると、完全に逆効果。特に小学校低学年のうちは勉強以外のことで何かに没頭していたら、決してそれを邪魔してはけません。その集中力があとで勉強に役立ちます」という――。
わが子の“頭脳”が先細るか、後伸びするか、すべては親次第
そろそろ1学期が終わる。小学生の子を持つ親の中には、子供が持ち帰ってくる高評価の通知表を見て褒める人もいれば、低得点のテスト結果に落胆して遊ぶ時間を制限させて勉強へと促す人もいるかもしれない。
だが、こうした行為は逆効果になると、中学受験塾VAMOS代表の富永雄輔さんは指摘する。なぜか。夏休みに入る今、低学年の子にやりがちな親の「NG行為」と、「OK行為」を教えてもらった。
まずは、科目の中でも最も学習量が実力に反映されやすい、算数から。
◆やってはいけない勉強法①「公式算数の先取り教育」
進学塾に通っていると、通常4年生から習う学習を低学年で教わる機会もあるだろう。あるいは、親が先取りして問題集を買うこともあるかもしれない。だが、「公式算数」だけは前倒しすべきではないという。
「鶴亀算をはじめとする算数の公式(※)を教えると、それ以外の思考方法が出てこなくなり、パターン問題の一部しか解けなくなる恐れがあります。つまり、考える習慣が損なわれるのです。パターン以外の思考方法も身につけるべき低学年に、公式を教えることは、『安直に答えを出すカンニングペーパー』を渡しているようなものです」(富永さん、以下同)
※【鶴亀算】亀の数:(足の合計-2×頭の合計)÷(足の差)、鶴の数:(4×頭の合計-足の合計)÷(足の差)、【植木算】一直線上に立ち両端に木がある場合:木の本数=間の数+1、一直線上に立ち両端に木がない場合:木の本数=間の数-1、など。
公式算数を覚えるのは4、5年の後半からでも間に合うが、後述する思考力や集中力は、時間に余裕のある低学年でしかじっくり鍛えられない。勇み足は禁物だ。