しかし、目的に立ち返れば、そっけない「対応率50%」というデータのほうが、今知りたいことに直結したデータだといえるでしょう。これが、目的に対してデータを手段として適切に使うということです。

まずすべきことは、自分が伝えたいこと=目的や、証明したい仮説を定めること。それからデータを集めるべきでしょう。

断片的、表面的な情報は視点を固定してしまい、「このデータの中に答えはきっとある」という思考に陥らせてしまいます。

正解は探すな、創造するものだ

自分が知っている情報や今手元にあるデータは、あくまで自分が知るべき情報の一部でしかないという認識が必要です。

目的もなくデータを分析して、発見したことを出発点や仮説にしてはいけません。「データからこんなことがわかりました」では、他者を説得することはできないでしょう。

では、仮説はどうやって立てればいいのでしょうか。必要になるのは、いわゆる「ロジカルシンキング」の知識と場数です。自分の知識や経験からだけではなく、論理的な可能性を探るのです。

単にデータから何かしらの法則を見出すことは、AIやデータサイエンスでも可能です。ただ、それを「正解」と呼べるのでしょうか。われわれに今後必要になるのは、「正解を見つけ出す」のではなく「自ら正解を創り出す」スキルでしょう。

残念ながらそういったスキルを身に付けることは、これまでの日本の教育との間にはギャップがあるため、自力でしなければなりません。

論理的思考によって、広い設計図を描くことを目指すべきです。

(構成=梁 観児)
【関連記事】
なぜ役人は無意味なクソ仕事に一生懸命なのか
話が絶望的に「つまらない人」の7つの共通点
女性役員が昇進の武器にしてきた資格とは何か
モノを買わない若者がそれでも欲しい商品とは
会社が絶対手放さない、優秀人材6タイプ