いまの仕事に必要なことをひたすら学ぶ
「社会人になってからの私の学びの原点です」と言って、村田珠美さんは1冊の本を見せてくれた。ページの耳が折られ、あちこちに書き込みが残るそれは、『英文簿記会計』。
「当時、弊社の米国輸出製品に追加関税が課せられており、米国赴任からの帰任後、この調査対応を担当しました。米国商務省に提出する会計データを分析し、当局に英語で説明する必要が生じたのです」
当時、T字勘定(複式簿記)も知らなかった村田さんは、本屋でこの参考書を見つけ独学。上司に、教材選びの目のつけどころがいいと褒められたことにも気をよくして、有価証券報告書のP/L(損益計算書)、B/S(貸借対照表)から始め、会計処理の仕組みを理解していく。
「その時々の仕事に必要なスキルを見つけ出し、自発的に学ばなければ。そう自覚したのが、この時期です」
それから7年後、村田さんは経営企画本部へ。そこでコーポレートガバナンスについて学ぶ必要性を感じ、会社法の勉強をスタートした。