巷にあふれる優越感と羨望がないまぜになった外国バッシング本ではない。本書はアメリカがどれほど愚かな人々が住んでいる国なのかを、居住者の立場で半ば呆れながら描いている本だ。

まず序章で紹介するのはNBCの人気番組「トゥナイト」のひとこまだ。司会が街頭で通行人にクイズを出す。北京オリンピックの最中に開催国を聞くと「アメリカ? ……じゃないのね……」と自信がない。オリンピック発祥の地を尋ねるとまたしても「アメリカ?」と聞き返す始末だ。回答したのは、白人女性で教育学を専攻している大学生だった。

著者はこの愚かさの根底には「無知こそ善」という思想があると説明する。このアメリカ的反知性主義の原因のひとつにキリスト教福音主義の存在がある。聖書に書いてあることが唯一の真実だとする思想だ。そのため、アメリカ人の2割は天動説を信じているというから驚く。中世に逆戻りしつつあるのだ。