世界的に昨年の春頃から証券市場の下落が始まっていた。しかし、中国ではいったん下がった株価は、すぐ力強く反転し、連日、株価の最高値を更新し続けた。2007年10月には、上海総合指数がついに6000ポイントを超え、史上最高値を記録。2桁の成長率を誇る中国経済の力強さに世界が驚嘆し、多くの中国人もそれに陶酔していた。巷にはにわか投資家があふれ、出張で中国に帰るたびに、「世界情勢を考えると、持っている株を早く手放すべき」と勧めても誰もが耳を貸してくれなかった。

中国社会全体は確実に資本主義へと移行しているとはいえ、多くの中国人は持ち合わせている社会主義的意識と資本主義市場の投資意識を自らの都合によいように使い分けしているようだ。誰もが株市場を強気に見ていた。「08年は北京五輪の年。中国政府がご祝儀という意味で株価を支えてくれるだろう」というのが、その主な理由である。