本書は多面的な視点から「格差」問題を取り上げて分析している。小泉政権当時に格差の是非が議論され、近い将来予想される解散総選挙で大きな争点になる可能性が高い。与野党がどう格差問題に取り組むのか比較・検討するうえで、本書は最適の指南書である。
「新古典派経済学や新自由主義と親和性が高いトリクルダウン(富める者が富めば貧者もその恩恵を受ける)理論は、富裕層が成長すれば、底上げ効果が期待できるとする。一方、成長優先のトリクルダウンが貧困を削減する効果を疑問視する見解もある」(32頁)から、最近の欧米金融市場が「100年に1度あるかないか」の危機を迎えているときに、再検討するのにいい機会を本書は与えてくれる。
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