天安門事件の「大量殺人」を繰り返してはならない

しかも中国政府は、30年前の1989年6月に北京の天安門広場に軍隊を出動し、実弾の発砲や戦車の走行などによって民主化を求めて抗議活動を続ける多くの若者たちを惨殺した。天安門事件だ。この事件を調べてまとめたイギリス外務省の公文書には「1000人から3000人の死者を出した」と記されているが、中国政府は「死者319人」としか発表していない。

香港で抗議活動を続ける学生や市民に中国政府がいつまた牙をむくか分からない。中国は「恐怖」そのものである。

天安門事件の悲劇を繰り返してはならない。学生たちが過激な活動を続ければ、中国側に軍隊出動の大義名分を与えることになりかねない。暴力的行動は慎むべきである。

中国政府の意を受けた人間が民主派の若者に成りすまし、公共の建物などを破壊しているとの情報もある。国際社会の批判をかわして武力で民主派を押さえ付けることの正当性をアピールする魂胆なのだろうが、中国ならやりかねない。

中国の大量殺人を防ぐためにも、国際社会が香港の民主派の活動を後押しして中国政府に強い抗議の意思を伝えるべきである。

民主派が区議選で過半数を制するのは初めて

香港メディア「香港01」の集計によると、投票率は71.23%で香港返還以来、最高となった。

獲得数は全18区計452議席のうち、民主派は385議席、親中派が59議席をそれぞれ獲得した。民主派は改選前の3倍超にまで増やし、親中派は5分の1まで議席を減らした。民主派が区議選で過半数を制するのは、1997年の中国返還以来、初めてのことだ。

香港政府トップの行政長官を選ぶ1200人の選挙委員は、香港の政財界の有力者からなる。大半が親中派だ。

この1200人のうち117人は区議の互選で決まる。民主派はこの区議枠をすべて手に入れることになる。2022年に予定されている行政長官の選挙で強い影響力を持つはずだ。