「中国は思考停止に陥ってはいないか」と毎日社説
次に毎日社説。「香港の民主派圧勝 民意に応え混乱の収拾を」との見出しを掲げ、後半でこう主張している。
「警察と学生らの激しい衝突で一時は実施が危ぶまれたが、学生らも選挙実施を優先し、過激な抗議行動を控えた」
「林鄭氏にとって今が混乱を鎮める最大の機会だ。市民の声に耳を傾け、要求に応じるべきだ。市民を失望させれば、再び、大規模な抗議活動が起きるだろう」
林鄭行政長官に「市民の要求に応じろ」と訴えるが、傀儡の彼女には無理だ。そこは毎日社説も理解しているようで、矛先を中国政府に向ける。
「長い混乱で明らかになったのは事実上、中国の意思を反映して任命されたとみられている行政長官やその指示を受ける警察などの行政機関に対する市民の根強い不信だ」
「中国は『外国の干渉』『カラー革命』などの『陰謀論』を主張するが、自らの香港政策の失敗に目を向けず、思考停止に陥ってはいないか」
「民主派の大半は『1国2制度』を否定してはいない。市民の選択を尊重してこそ、中国や香港政府への信頼を取り戻せる。それが香港安定の唯一の道ではないか」
中国は「思考停止」というよりも「異常」なのである。異常な国家に対し、「信頼を取り戻せ」と求めても無理である。難しいと思うが、香港の未来は台湾のように中国から独立するしかないのかもしれない。
「活動が過激になっても民意は揺らがなかった」
産経新聞の社説(主張)は「香港の区議会選 圧勝の『民意』に歩み寄れ」と産経社説にしてはわりと控えめな見出しを立ててこう指摘する。
「区議会の改選は4年に1度だ。学生らが幹線道路を占拠した2014年の『雨傘運動』の翌年の前回選挙は、社会の安定を訴えた親中派が勝利した」
「6月の大規模デモ以来、香港の幅広い市民は林鄭氏率いる香港特別行政区政府に強い不信感を示していた。今回の民主派の圧勝は、抗議活動の一部が先鋭化した後も民意が全く揺らがない現状をはっきり示した結果である」
なるほど、「活動が過激になっても民意は揺らがなかった」とは産経社説は説得力のある書き方をする。そのうえで産経社説は中国にこう求める。
「投票結果を受け、香港の中国系紙は『暴力が選挙を操った』などと論評した。訪日中の王毅国務委員兼外相は『香港は中国の一部。安定と繁栄を破壊する者は許されない』と語った」