本当に「国民のための政治」を実行してきたのか
安倍首相の在職日数が11月20日に通算2887日に達し、憲政史上最長となった。歴代最長の政権だ。
これまでの内閣支持率は悪くはない。しかも野党が弱く、自民党内にも有力な「ポスト安倍」が存在しないため、安倍首相の政治的基盤は強固にみえる。
しかし首相の在籍日数が、長ければそれでいいというものではない。問題は首相自身が日本の将来をしっかりと見据え、国民のための政治を着実に実行してきたかどうかである。
その観点から判断すると、「安倍1強」の長期政権には、緩みや驕り、歪みがはっきりと見えてくる。
わずか1年で総辞職した「第1次安倍内閣」
第1次安倍内閣は2006年9月26日に発足した。当時、安倍首相は51歳。戦後最少年であり、初の戦後生まれの首相だった。だが、2007年夏の参院選で自民党が敗れた後、安倍首相は持病が悪化し、わずか1年で内閣は総辞職した。永田町では「安倍さんの政治生命は消えた」とまでささやかれた。
それでも2012年9月の自民党総裁選で石破茂氏らとの戦いに勝ち、同年12月の民主党政権下で行われた衆院選で自民党は圧勝し、民主党から政権を奪回。12月26日、首相に返り咲いて第2次安倍内閣を発足させた。持病の治療も成功し、奇跡の復活を果たした。その後7年間に亘って政権を維持してきた。