「年を追うごとに弊害の方が際だってきた」

新聞各紙は11月20日付の社説で、長期政権の問題点を指摘しながら安倍首相に反省を求めている。

朝日新聞の社説は「歴代最長政権 『安定』より際立つ弊害」という見出しを付け、冒頭からこう厳しく批判する。

「日本の政治史には、『歴代最長政権』として、その名が残ることは間違いない。しかし、これだけの長期政権に見合う歴史的な成果は心もとなく、年を追うごとに弊害の方が際だってきたと言わざるを得ない」

さらに朝日社説は安倍政権の「弊害」を具体的に挙げる。

「一方で、長期政権がもたらした弊害は明らかだ。平成の政治改革の結果、政党では党首に、政府では首相に、権限が集中したことが拍車をかけた。自民党内からは闊達な議論が失われ、政府内でも官僚による忖度そんたくがはびこるようになった。森友問題での財務省による公文書の改ざん・廃棄がその典型だ」

党首、首相への権限の集中は、官邸主導の政治が生んだ負の面である。「忖度」という言葉がそれを確かに裏付けている。

強引な憲法改正があれば、政治の混乱を招くだけ

最後に朝日は訴える。

「首相の自民党総裁の任期は残り2年である。個人的な信条から、長期政権のレガシー(遺産)を、強引に憲法改正に求めるようなことがあれば、政治の混乱を招くだけだろう」
「限られた時間をどう生かすか。国民が今、政治に求めていること、将来を見据え、政治が今、手を打っておくべきことを見極め、優先順位を過たずに、課題に取り組む必要がある」

政治の混乱は、任期まで時間の少なくなった安倍首相にとっても、避けたいところだろう。ここは朝日社説の主張に素直に耳を傾け、政治課題に取り組んでもらいたい。