人物相関図やイラストが理解の手助けになる

——学習まんがもいろいろありますが『角川まんが学習シリーズ 日本の歴史』は、単行本と同じ四六判サイズのソフトカバーで、軽くて持ちやすいと好評のようです。西村先生も読まれたことがあるそうですが、いかがでしたか?

【西村】最初に、登場人物の相関関係図があるのがいいですね。次に、カラーページのイラストで、時代の特徴や流れをまとめているので、読み始める前に全体像をつかむことができます。こうした点も含めて、歴史の大きな流れをつかむための工夫が随所に盛り込まれている点が人気なのではないでしょうか。

私も、角川のまんが学習シリーズを夜寝る前に読み始めたら、面白くて眠れなくなってしまいました(笑)。

——今は、動画を観ることに慣れている子どもも増えていますが、映像で歴史ものを見せるのも学習効果が期待できると思われますか?

【西村】確かに、大人も子どもも目にするものが活字から動画に移ってきていますね。ただ、小学生に学習目的の動画を見せると成績が上がるかというと、上がらないのです。目の前で動いている映像を見るだけでは、頭で理解して記憶として定着するところまでいかないのでしょう。

その点、活字の場合は、頭のなかで文字情報から意味情報に変換して、想像をふくらませるという複雑な動きをしていますので、長期記憶につながりやすいのでしょう。まんがは、ちょうどその真ん中だと思います。動画ほどわかりやすくないけれど、活字ほど難しくもないので、イラスト見てセリフの活字も読んで、ちゃんと意味を理解しながら読み進められる。活字と絵で見せるというのは、まだ発達段階にある子どもたちにとても適しています。

動画が「効く」のは中学生以上

——動画の授業を配信する塾もありますが……。

【西村】動画授業の配信がうまくいっているのは中学生以上で、小学生相手だとなかなかうまくいかないのが塾業界の現状です。中学生以上になると、12年間の知識のストックがありますから、動画で見た新しい情報も頭の中にある過去の知識とつながって、「ああ、なるほど」と理解できることが増える。一方、小学生はまだまだ知識が少ないですから、目で見た情報が知識のストックとなかなかつながらないんですね。

——そういう意味でも、学習まんがは小学生にピッタリなのですね。子どもに買い与えるとしたらいつがベストなのでしょうか。親としては、少しでも早く読んでほしいと思いますが。

【西村】早熟な子の場合は、3年生あたりから読ませてもある程度は理解することができると思います。しかし、精神的な転換期を迎える時期が「9歳の壁」と言われるように、多くの子は小学4年生くらいにならないと、自分と他人との違いを認識することができません。

歴史を理解するためには、自分とは違う歴史上の人物の気持ちや行動を少しでも理解しなければいけない。そして、一人一人の人間の行動が積み重なり、それが複雑に絡まった結果として歴史がつくられている、という感覚を持てるかどうか。これはやはり、「9歳の壁」を越えなければむずかしいですね。