「ストーリーを追うだけ」では頭に入らない
【西村】仮に、3年生以下の子が学習まんがを読んだとしても、それはストーリーを追っているだけの可能性が高いです。よく「読書好きの子どもなのに、国語の成績が上がらない」という相談を受けますが、それも同じことで、その子は次の展開が気になってストーリーを追っているだけ。登場人物の心情や出来事の意味をすっ飛ばして読んでいるから、国語の設問に対する答えもわからないわけです。ですから、学習まんがも、絵や文章を読み飛ばさずにじっくり読むことが大事ですね。
そういうことが自分でできるようになるために、1、2年生で音読の宿題が出るわけです。あれはものすごく大切な宿題で、音読することでその文章の意味が頭に入ってくるんですね。
——では、文章の意味が理解できる4年生くらいになった時に、学習まんがに興味を持ってもらえるといいわけですね。
【西村】そうですね。中学受験をするお子さんの場合、進学塾で本格的な歴史の学習が始まるまでに、日本の歴史全体を俯瞰しておくことは、大きなアドバンテージになります。
家の本棚を見れば、子どもがわかる
——タイミングとしては5年生になる前の4年生の冬休み、クリスマスプレゼントやお正月のお年玉で、お子さんに買い与えてあげるのがいいかもしれませんね。ただ、無理に押し付けないのがポイントだと、早稲田アカデミーの先生がおっしゃっています。
【西村】その通りです。私は家庭教師をしていますから、当然、受験生のお宅も拝見するわけですけど、真っ先に見るのが本棚なんです。そこに並んでいる子どもの本や親の本の種類や量をみると、だいたいどういうお子さんかわかる。
勉強ができるお子さんの家の本棚は、並んでいる本のタイトルを見るだけで、何か新しいことを知りたいという親御さんの好奇心が感じられます。でもそれを子どもに押し付けているのではなく、自分自身が楽しんでいらっしゃる。親自身も学びの習慣があるんです。そうすると自然と好奇心や向学心が高まって、本棚にある親の本に手を伸ばすようになります。
——そういう意味では、歴史を学び直したいと思っている親御さんにとっても歴史学習まんがは格好の教材になりますね。お互い感想を言い合ったりして親子の会話が増えると、子どもも歴史を好きになって楽しく学んでくれそうです。