暗記だけでは記述問題の点数が上がらない
続いて、プロ家庭教師集団「名門指導会」代表の西村則康さんに話を伺った。
——歴史の記述問題につまずかないようにするためには、どのような学習をしたらいいのでしょうか?
【西村則康(以下、西村)】歴史の勉強は5年生の2学期から始まりますが、受験勉強の追い込みに入る6年生は、社会を後回しにしている子が多いんですね。そういう子はギリギリになって、一問一答式の暗記教材を必死で覚えますが、いくら暗記しても記述問題の点数は上がりません。なぜなら、覚えたことの関連付けができないからです。
地理は4年生から始まって、地形、気候、作物がお互いに深く関わっていることをじっくりと学習する期間が設けられています。その期間に地理を学習する素地が作られます。しかし、歴史は小5の9月にいきなり細かな知識の暗記学習が始まってしまいます。そのために事件や出来事の関係性を聞かれてもパッと答えられない。そもそも歴史に出てくるのは、生活も文化も今とはまったく違う時代のことなので、自分たちとかけ離れすぎていてイメージをつかみにくいのです。
ひるがえって入試問題はどうなっているかというと、特に上位校は、資料や説明文を読ませたうえで、これとこれの出来事の関係性を説明してください、という問いに変わってきている。御三家クラスになると、資料を読み込んで自分の考えを書かせる出題も出てきています。
学習まんがはビジュアルでイメージをつかめる
——そういった記述問題を克服するためには、歴史の流れを頭に入れておく必要がありますね。早稲田アカデミーさんによると、中学入試で出題される歴史的な出来事の整序問題や、並び替え問題への対応力も、歴史の流れをつかむことで身につくそうです。
【西村】そうですね。知識は文脈の中で覚えなければ意味がありません。歴史上の人物も重要事項も、人間関係や前後の流れを理解して納得したうえで覚えていかないと、すぐ抜け落ちていきます。逆に言うと、流れをしっかりとつかんで、物事の関連性を説明できれば、知識は自然と頭に入ってきて簡単には忘れなくなります。その土台づくりとしておすすめなのが、歴史学習まんがなんですね。
学習まんがのメリットは、ビジュアルでイメージをつかみやすい点です。小学生は子どもによって成長のスピードが異なりますから、文章を読んで意味を理解して、頭で想像したイメージをとらえることができない子がたくさんいます。活字だけ読んでも、納得するところまで落とし込むことができないんですね。
ですから、たとえば理科でも、生物や実験などのわかりやすい絵を描いて説明できる先生が教え方上手だと言われるのです。社会もそれは同じですが、歴史の出来事を動きのある絵に描くのは容易なことではありません。その点、まんがは、プロの絵とセリフで物語として読めますから、遠い異次元のような昔の話でもすんなり入り込むことができるのです。