何でも話せる友人がいない
多くのビジネスパーソンが抱えている仕事に関する悩みの大半は、上司に起因しているでしょう。しかし、上司は選べず、自分の力で上司を追いやるのは至難の業です。
そうしたなか、身近な友人に深刻な悩みを相談できれば、心の負担が軽くなります。しかし、「自分の内心を打ち明けられる親しい友人がいない」という人が少なからずいるようです。そのような人たちに僕は、「本を友人にする」ことをおすすめしています。
本には、著者の生きざまや考え方が詰め込まれています。つまり本に親しむことは、著者を「心の友」にするのと同じことなのです。そして、愛読書を選ぶのなら、優れた人物の著書を選びましょう。とりわけ、僕がおすすめしたい本は、ダグ・ハマーショルドの『道しるべ』です。
ハマーショルドはスウェーデンの出身で、同国の財務事務次官や外務次官、欧州経済協力機構(OECD・経済協力開発機構の前身)スウェーデン代表などの要職を歴任した後、1953年から61年まで国際連合の事務総長を務めました。当時の世界は、東西冷戦が激化し、第2次中東戦争やコンゴ動乱が起こるなど、政情がとても不安定でした。国連も難しい運営を強いられましたが、巧みな外交手腕を発揮して国際紛争の解決に成果を上げ、ノーベル平和賞を受賞(没後)するなど「名事務総長」として知られています。