寄付集めを重視する姿勢が強すぎる

最近、“ふるさと納税”の返礼品が過度になっているとの批判を耳にする。一部で、行き過ぎた返礼品が提供されるケースが出ているようだ。監督官庁である総務省も、返礼品の一部に問題は発生しているとの認識を示している。

そうした批判もあり、6月以降、静岡県小山町、大阪府泉佐野市などがふるさと納税への参加を認められなくなった。一部の自治体では、寄付集めを重視する姿勢が強くなりすぎ、“ふるさと納税”本来の趣旨が見落とされてしまった。すでに泉佐野市は総務省と法廷で争う構えを示している。

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意見陳述のため、国の第三者機関「国地方係争処理委員会」に出席した大阪府泉佐野市の千代松大耕市長(左)=2019年7月24日、東京・霞が関の総務省

ここで政府・納税者・自治体は、ふるさと納税制度の本来の趣旨に立ち返らなければならない。同制度の最も重要なポイントは、各自治体が地元企業などと連携してその魅力を高めてふるさと納税を呼び込み、地方経済の活力向上につなげることだ。政府は、本来の趣旨にもとづいたふるさと納税を目指して、関係者にていねいな説明を行い十分な理解と納得を得る必要がある。