誰が誰よりも「上」なのか「下」なのか

ところが、SNSでのつながりを含めて、多くの人が社会の中で動き回り、人をつなぐネットワークが時時刻刻と変化するようになると、誰が誰よりも「上」なのか「下」なのか、わからなくなってしまった。加えて、「エイジレス」の傾向から、年齢でどちらがどうという判断も、つきにくくなってしまった。

そのような状況の中では、本来、誰でも平等なはずなのだけれども、それでは不安なので、マウンティングすることで上下関係を決めて安心する。そんな心理的動機づけの背景があって、人々の行動が変化していくのである。

逆に言えば、マウンティングさえしなければ、今の社会は人間関係が驚くほど平等、フラットであるということになる。

本来、関係が対等であるほうがコミュニケーションはうまくいく。年齢や肩書に関係なく、それぞれの人が知っていること、興味を持っていることを熱く語り合うほうが、創造的だし、個性の組み合わせを通してチームワークもうまくいく。

マウンティングしてしまうと、人間関係が固定化されて、チームとしての機動力が失われる。情報も自由に流通しなくなり、生産性も下がる。

精神安定剤にはなるかもしれないが、発展が止まる

実際、現代において成功している人たちを観察していると、マウンティングとは無縁で、人間関係をフラットにとらえている方々が多い。年齢や肩書、組織と関係なく、その人が何を得意とするのか、どんな個性を持っているのかを受け止めて、柔軟に反応している人が結果として成功している。

とりわけ、新しいメディアや、IT関連のベンチャー、現場で輝いている人たちは、人間関係をフラットにとらえる傾向が強いように思う。たとえ客観的に見たら“すごい人”でも、それを微塵も感じさせず、誰に対しても同じように振る舞っている。

逆に、ちょっとした成功や権威、肩書でマウンティングして、周囲から尊重されることを期待する人たちは、結局あまり発展性がなくて、尻すぼみになることが多い。

現代の精神はフラットな人間関係である。マウンティングは精神安定剤にはなるかもしれないが、発展が止まる。できるだけマウンティングはしないほうがよい。

(写真=PIXTA)
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