現在の韓国政府が異常であることは間違いない
それぞれの社説の内容については後でまた触れるが、週刊ポストの記事は新聞社説でここまで批判されるものなのだろうか。手元に取り寄せてざっと読んでみたところ、特段に問題と思われる点は見当たらなかった。
「減韓」「断韓」「厄介な隣人」といった見出しのどこが問題なのか。韓国のGSOMIA(軍事情報包括保護協定)破棄、報復的な輸出規制、東京五輪ボイコットの動きなどは取材に基づいている。
これまでも書いてきたが、徴用工問題をきっけとするいまの日韓関係の悪化は、どう見ても韓国側に負い目がある。昨年12月には海上自衛隊の哨戒機に対し、火器管制レーダー照射という戦闘行為に準ずる事件まで引き起こし、平然としている。現在の韓国政府は異常である。
それを考えずに「嫌韓」「ヘイトスピーチ」「侮辱的行為」などと批判するのはどうだろうか。嫌韓の問題はまた別に考えるべきだ。要は嫌韓問題と日韓関係悪化を並べて同次元で論じるべきではない、と思う。
ただし「韓国人という病理」という記事には問題がある
一般的に雑誌は、センセーショナルな見出しを付ける傾向が強い。新聞やテレビとは違い、毎号が店頭での勝負になるからだ。雑誌の読者も、そうした事情は理解しているだろう。ただ、週刊ポストの今回の特集後半にある「韓国人という病理」という記事は批判されても仕方がないところがある。
東京社説も「中でも『怒りを抑えられない〈韓国人という病理〉』」という記事では、韓国人の多くが怒りを調節できないとし、精神障害の診断名まであげた」と書いてこう指摘している。
「これに対し、作家の深沢潮さんが、『差別扇動』を見過ごせないと同誌(週刊ポスト)での連載中止を表明した。さらに発行元の小学館には、同社と関係のある作家や読者から多数の抗議が寄せられているという」
小学館の「その日のうちにお詫び」には驚いた
発行元の小学館は9月2日、同社のニュースサイトに、以下のような編集部の謝罪コメントを掲載した。
「混迷する日韓関係について様々な観点からシミュレーションしたものですが、多くのご意見、ご批判をいただきました。なかでも、『怒りを抑えられない「韓国人という病理」』記事に関しては、韓国で発表・報道された論文を基にしたものとはいえ、誤解を広めかねず、配慮に欠けておりました。お詫びするとともに、他のご意見と合わせ、真摯に受け止めて参ります」
この謝罪コメントは、次号の9月20日・27日号(9日発売)にも掲載されたが、2日発売の週刊ポストの記事についてその日のうちに謝罪するのは、いくらネット時代とは言え、驚くべき早業である。そんなに早く「お詫び」を出すなら、最初から記事を掲載しなければいいのだ。