日本による一連の輸出管理強化措置以来、日本を「不法な加害者」として激しく批判し続ける韓国の文在寅政権。著述家の宇山卓栄氏は「文在寅政権は、歴史的に属国であることを強いられた『被害者の伝統』に自ら進んで依拠しているようにも見える」と指摘する——。
なぜ韓国にとって日本は常に「加害者」なのか
経済産業省が2019年7月1日に「韓国向け輸出管理の運用の見直し」を発表して以来、韓国は日本を激しく批判しています。さらに8月2日、日本政府が韓国を輸出優遇対象であった「ホワイト国」から除外する政令改正を閣議決定すると、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「加害者である日本が、盗っ人猛々しく、むしろ大きな声で騒ぐ状況は絶対に座視しない」(*1)と応じました。
文大統領は8月15日、「光復節」の式典で「日本が対話と協力の道に進むなら、われわれは喜んで手をつなぐ」(*2)と演説しました。これは軟化ではなく、一種の恫喝ととらえるべきです。「徴用工問題や慰安婦問題で、日本が誠意を見せれば対話してやる」と言っているわけです。国内世論のバランスを取りながら、「悪いのは日本」というイメージを国際世論にも訴える格好になっており、巧みな誘導感覚も見て取れます。
文大統領はいつものように、「日本の朝鮮統治が不法」とする捉え方に固執し、日本を不法な「加害者」と決め付けています。その上で、日本の輸出管理の一連の措置を徴用工問題の「明白な経済報復だ」と断じています。市民のデモも連日催され、「100年前に加害者だった日本が再び韓国を対象に明白な経済侵略を犯している」(*3)などという主張が繰り返されていました。
韓国は自分に不都合なことがあると、「日本の不法な植民地支配のせい」というところにすべての問題を帰結させようとします。結局、自分たちが属国支配されていたという被害者意識や甘えの構造から抜け出せないのです。