加齢とともに記憶力は落ちるといわれている。だが脳の可能性は無限大だ。今回、「最高齢」で難関資格に合格した人たちに、その学び方を聞いた。第1回は「60歳で医師」の水野隆史さんだ――。(全4回)

ボイスレコーダーに吹き込んで倍速で聞く

水野隆史さん(64歳)は、現在十和田市立中央病院で内科医として働く。一見してベテラン医師の風貌だが、金沢大学医学部の編入試験(4年制大学を卒業した学士ならば、3年次から編入する試験を受けられる)に合格したのは2009年のこと。当時、水野さんは54歳だった。その後15年3月に同年最高齢で国家試験に合格、同年4月から研修医となった「還暦過ぎの若手医師」だ。

もともとは農林水産省の官僚だった水野さん。激務をこなすかたわら、医師を志して勉強を始め、見事に難関を突破。目指していた「直接、目の前の人を救える仕事」に就いた。

水野さんを医師へと導いたのは、自身が生み出したある特別な勉強法だったという――。

朝3時に起床、仕事と勉強を両立

何より大切なのは、自分に合った勉強法を見つけることだと思います。

私が医学部受験の勉強を始めたのは50を過ぎてのことでしたから、若い頃に比べて、覚えが悪くなったと痛感していました。