在日中国人の顔安氏がこのオペラの公演と彭氏の訪日を企画し、その実現に骨を折った。私も顔氏の要請を受け、一部の作業をお手伝いしていたのである。

心の底から敬意を覚えずにはいられなかった

公演当日、妻とともに公演会場に着いたとき、ちょうど陛下を乗せた車も到着した。強い意志をたたえられたそのお姿に、心の底から敬意を覚えずにはいられなかった。やがて新天皇となる皇太子と、やがて中国のファーストレディーとなる彭氏との点と線がこうして結ばれたのだ。

もう一回は東日本大震災が発生した11年のことである。10月14日、地球環境行動会議(GEA)が主催した国際会議に陛下が参加された折に、お目にかかる機会があった。

会場を離れる陛下を、外国人のゲスト数人と一緒にお見送りしたときのことである。陛下は私が中国人だと知ると、足を止めて握手し、お言葉をかけてくださった。陛下の優しくて穏やかな性格が非常に印象的だった。

こうして陛下と間近に接した経験もあったことから、本書の中の皇后雅子さまとのお忍びデートの話や「雅子さんのことは僕が一生、全力でお守りします」と述べられたエピソードなどを読むと、深い感銘を受けるとともに、納得する気持ちになったのである。

1998年に私は「これからの20年間、日中関係はよくならないだろう」と予言したが、20年が経ったいま、日中関係はようやく低迷から脱し、少しずつ改善している。穏やかで強い意志をお持ちの陛下は、日本と他国とのよりよい関係を築くうえで、ますます欠かせない存在になられるのではないだろうか。

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