日本と他国との良好な関係を築くうえで不可欠の存在
皇太子徳仁親王が第126代天皇に即位し、令和時代を迎えた日本。中国のメディア報道を見ると、平成時代の経済などについては厳しいトーンで報じている記事も見られるが、天皇家の代替わりに対する報道は好意的なもの一色だった。
書評の本を選ぶとき、「皇室記者として、間近で見てきたから書けること」と書かれた帯の言葉に惹かれて、躊躇せずに本書を取り上げることに決めた。
間近で見たというと、私も2回、新天皇陛下を皇太子時代に間近で見たことがある。
1回目は2009年の11月11日。当時国家副主席だった習近平氏の夫人、彭麗媛さんが芸術総監督を務める中国オペラ「木蘭詩篇」の日本公演が学習院大学のホールで行われた。陛下はこのオペラを鑑賞されたのである。
人民解放軍所属の歌舞団、中国国家副主席の夫人、といったキーワードが刺激的だったため、当時は陛下の公演鑑賞に反対する声が相当強かった。しかし、陛下は強いご意志を持って公演会場に赴かれた。宮内庁によると、このお出ましはいわゆる公務ではなく、私的なご活動との位置づけであった。