トランプ氏と2人だけで45分間も会談したが……
安倍晋三首相とアメリカのトランプ大統領による日米首脳会談が4月26日午後(日本時間27日朝)、ワシントンのホワイトハウスで行われた。農産物や自動車などの輸出入を巡る日本とアメリカの貿易交渉が会談の中心だったが、気になるのが日米の北朝鮮への対応だ。
安倍首相とトランプ氏の会談は昨年11月以来になる。通訳を入れて45分間、2人だけで会談した。その後、麻生太郎財務相やポンペイオ国務長官らが同席した少人数の会合と他の関係者も交えた拡大会合が、1時間ほど行われた。
ベトナム・ハノイで2月に行われた米朝首脳会談後、米朝の交渉が行き詰まるなか、4月25日には北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長とロシアのプーチン大統領が初めて会談した。今後、金正恩氏は中国の習近平(シー・チンピン)国家主席とともにプーチン氏を後ろ盾にしてアメリカのトランプ氏に制裁緩和を求めていくとみられる。
5月4日、北朝鮮では金正恩氏の指導のもと、「長距離ロケット砲」と「戦術誘導兵器」を日本海に向けて発射する軍事訓練が実施され、これを5日、北朝鮮国営の朝鮮中央通信が報じた。
北朝鮮が最後に弾道ミサイルを発射したのは2017年11月末だった。今回の発射は自国の核・ミサイル技術を誇示し、アメリカの完全非核化の要求には応じない姿勢を示したものだと思う。制裁緩和の実現に向け、金正恩氏はしたたかに動いている。北朝鮮を巡る情勢からは目が離せない。
蜜月関係をアピールするだけの「抱きつき外交」
報道によると、4月26日の日米首脳会談でトランプ氏は米朝会談に触れ、「北朝鮮には完全な非核化が必要だ」と語るとともに金正恩氏とのパイプを維持する必要性を強調した。
これに対し安倍首相は、2月の米朝会談でトランプ氏が金正恩氏の求める制裁緩和に応じず、(金正恩氏の求めた)段階的非核化の合意を見送ったことに支持を表明し、「トランプ大統領だけが完全非核化の交渉を成し遂げられる」と述べた。
安倍首相はどこまでも、トランプ氏のご機嫌を取りたいのである。朝日新聞などは安倍首相の対米交渉について、国際社会と日本国内にその蜜月関係をアピールするだけの「抱きつき外交」と批判している。安倍首相の「トランプ大統領だけが完全非核化の交渉を成し遂げられる」との発言には、「抱きつき外交」のいやらしさが端的に表れている。