トランプ外交に「振り回されてはならない」

「首脳同士の親密ぶりを強調されても、難題をめぐる具体的な議論や実際の進展を伴わなければ、空しさだけが残る」

4月24日付の朝日新聞の社説の書き出しだ。見出しも「日米首脳会談『蜜月』の乏しい内実」と掲げ、安倍政権を嫌う朝日社説らしい皮肉が込められている。

朝日社説は「しかし、伝えられる会談内容からは、首相の強いメッセージはうかがえない」と前置きしたうえで、安倍首相を具体的に批判していく。

「焦点の貿易交渉も、事前の担当閣僚間の合意をなぞる形で終わった。会談の冒頭、トランプ氏が5月末の来日時までの早期合意に意欲を示したのは想定外だったようだが、振り回されてはならない。環太平洋経済連携協定(TPP)など多国間の枠組みでの合意を背に、公正で自由な貿易の原則のもと、粘り強く交渉すべきだ」

トランプ外交は毀誉褒貶である。しかも予測のつかない行動に出ることがある。朝日社悦が指摘するように、トランプ氏に「振り回されてはならない」のである。

トランプ氏は褒めたり、悪口を言ったりと実に忙しい

安倍首相に対してはそうした態度を取っていないようだが、日本以外の国との外交を見ていると、トランプ氏は褒めたり、悪口を言ったりと実に忙しい。

たとえば対北朝鮮外交。2017年6月にシンガポールで行われた1回目の米朝会談の前には、金正恩氏を「ロケットマン」と激しく貶(けな)していた。

ところが、2回目の米朝首脳会談を終えると、5月4日に北朝鮮がロケット砲を飛ばしても貶すことはせず、「彼は私が味方だと知っているし、私との約束を破りたくないはずだ」と親密さをアピールするようなツイートまで飛ばしている。

安倍首相はトランプ氏の毀誉褒貶ぶりと予想外の言動に踊らされることなく、日本の国民の利益を最優先して対米外交を進めるべきである。

朝日社説は「トランプ氏は、今回も『日本は途方もない数の軍事装備品を米国から購入している』と歓迎したが、兵器を買い込んで米国の歓心を買うのは、健全な同盟関係とは言いがたい」と指摘する。