もっと毅然とした態度でトランプ氏と向き合うべき

今回の日米首脳会談で、安倍首相とトランプ氏は北朝鮮の完全な非核化を実現させるため、対北朝鮮交渉の方針をすり合わせた。その成果について安倍首相は「会談では相当に突っ込んだやり取りを行った」と語り、続けて「次は私が金正恩委員長と向き合って解決する」と述べた。

2回目の米朝首脳会談の後に示した、金正恩氏との直接会談へのあの意思表明である。その意欲は評価できる。

だが、金正恩氏はトランプ氏への「抱きつき外交」を進める安倍首相の足もとを見ているに違いない。その証拠に安倍首相の求めに金正恩氏は応じようとはしない。安倍首相はもっと毅然とした態度でトランプ氏と向き合うことが必要である。

5月、6月とトランプ氏は続いて来日する

北朝鮮の金正恩氏だけではない。北方領土問題で確固たる交渉が求められるロシア、空母の建造など軍事力を強める中国、そして国際社会が安倍首相の一挙一動を見ていることを忘れないでほしい。

トランプ氏は日本政府の招待で5月25日~28日に来日し、天皇陛下に会見する。天皇陛下にとって即位後初の外国首脳との会見となる。さらに6月28日~29日には大阪で主要20カ国・地域首脳会議(G20)が開催される。5月、6月とトランプ氏は続いて来日することになる。

安倍首相はこの夏の参院選を自民・公明の与党勝利で乗り切りたい考えだ。一方のトランプ氏は来年の大統領選に向け、地盤固めを急いでいる。

外交や政治には思惑が付きものだ。安倍首相とトランプ氏、日本とアメリカ。直近の課題は、この両者両国の利害損得をいかに調整するかにかかっている。