国民の利益よりも、己のことが大切
読売社説は日米双方の思惑の相違まで指摘して忠告する。
「会談でトランプ氏は、交渉の合意時期について『私が訪日する(5月下旬より)前かもしれない』と述べた。2020年の大統領選をにらみ、早急に成果を上げたい意向があるのだろう」
「一方、日本は夏の参院選後の合意を望む。協定の内容次第では、農業関係者の反発を招く恐れがあるためだ。こうした思惑のズレが今後の交渉に悪影響を与えないよう注意を払う必要がある」
参院選と大統領選。安倍首相もトランプ氏も、自らの政策を実行に移すために自らの地位の安定を望んでいる。裏を返せば、国民の利益よりも、己のことが大切なのである。
北朝鮮には制裁を緩めずに完全な非核化を求めるべき
読売社説は、朝日社説には触れられていない北朝鮮問題にも言及している。その点は評価できる。
「2回目の米朝首脳会談が物別れに終わった後、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、中露を後ろ盾に、対米けん制を強めている」と指摘したうえで、評価を下す。
「こうした情勢を踏まえ、日米の首脳が、北朝鮮との交渉方針をすり合わせた意味は小さくない」
「重要なのは、非核化に道筋がつくまで、北朝鮮への圧力を維持することだ。国連安全保障理事会の制裁決議を履行するよう、各国へ働きかける必要がある」
沙鴎一歩も、北朝鮮に対する制裁を緩めずに完全な非核化を求めることに賛成だ。制裁が効果を上げているからこそ、金正恩氏はプーチン氏との会談やロケット砲の発射などあの手この手でアメリカの圧力をかわそうと懸命なのだ。したたかな金正恩氏には、さらにしたたかになる必要がある。