本当は「中学受験親」に向いているコンサル

子供の感情を無視し、大人の感覚で無理難題を突き付ける“コンサル父さん”。誤解しないでいただきたいのは、“コンサル父さん”がみんなダメと言っているわけではない。

そもそもコンサルという職業は、伸びていく要素を見つけることに長けているので、本来なら“中学受験親”に向いている。やり方さえ間違えなければ、これほど心強い存在はいないだろう。上質なコンサルは、社員の持っている能力を認め、それを伸ばすことを考える。

一方、ダメなコンサルは成長のテンプレートにあてはめようとする。どちらのやる気が出るかといえば、もちろん前者だ。

子供は感情が動かなければ伸びない。「あれをやれ、これをやれ」「早く解け、もっと解け」と指示されるだけでは、感情は動かない。「ちょっとがんばればできそう」といった成功の予感や、「なるほど!」「わかったぞ!」といった納得や快感がなければ、がんばろうという気持ちにはなれないのだ。

大人からすると、小学生の子供はできないことがたくさんある。それをデメリットとして指摘するのではなく、少しでもできたこと、がんばったことに目を向け、そこを刺激し、伸ばしてほしい。それができるのは、塾の先生でも家庭教師でもなく、わが子をよく知る親以外ないのだ。

西村 則康(にしむら・のりやす)
プロ家庭教師集団「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員
日本初の「塾ソムリエ」として、活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導に定評がある。
(構成=石渡真由美 写真=iStock.com)
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