二度と戦争は起こしてはならないという強い決意

平成から令和になったが、私には何の感慨もわかない。

改元についての番組をNHKは3日間で33時間も放送したという。平成から令和へと変わる5月1日の午前0時、渋谷のスクランブル交差点を含めて、年明けのようなお祭り騒ぎが全国で繰り広げられた。

アベノミクスが失敗して景気が落ち込み、北方領土返還もプーチン大統領に無視され、万策尽きた安倍政権が、改元をお祭りにするという策を弄(ろう)したのかもしれない。その目論見はひとまず功を奏したということだろうか。

即位を祝う一般参賀で、手を振られる天皇、皇后両陛下と皇族方=2019年5月4日午前、皇居

私は、明仁上皇が生前退位したことはよかったと思っている。第二次世界大戦で戦死した日本軍の激戦地を訪問する慰霊の旅を続けてこられたことに、尊敬の念を禁じ得ない。

天皇皇后が激戦地跡にたたずみ、深く首を垂れる姿には、二度と戦争は起こしてはならないという強い決意がにじみ出ていた。

長い旅を終えられ、体力の限界を感じた明仁上皇が、202年ぶりといわれる譲位を決断されたのは、よくよく考えてのことであったのだろう。

「国民と共に憲法を守ることに努めていきたい」

皇太子徳仁親王が126代天皇の位に就かれた。5月1日、新天皇が即位後の朝見の儀で述べる「おことば」に注目が集まった。

昭和天皇が崩御して天皇に即位した明仁天皇は、そこでこう述べられた。

「皇位を継承するに当たり、大行天皇の御遺徳に深く思いをいたし、いかなるときも国民とともにあることを念願された御心を心としつつ、皆さんとともに日本国憲法を守り、これに従って責務を果たすことを誓い、国運の一層の進展と世界の平和、人類福祉の増進を切に希望してやみません」

また、その後の記者会見でも、陛下の憲法への思いをお聞かせくださいといわれて、「憲法は、国の最高法規ですので、国民と共に憲法を守ることに努めていきたいと思っています」と答えている。

「憲法を順守する」という強い決意を表明したのである。