「憲法を守る」と「憲法にのっとり」の大きな違い

新天皇はどういわれたのか。

「憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としての責務を果たすことを誓い、国民の幸せと国の一層の発展、そして世界の平和を切に希望いたします」

毎日新聞(5月2日付)は社説で、「言葉遣いはやや変わっても、基本姿勢は同じとみられる」と書き、やや疑問を呈した。

朝日新聞(5月2日付)は、おことばは、「内容は似ているが、異なる点もあった」とし、古川隆久日大教授は、「憲法を『守り』は、改憲しないとの意図が感じられる。『のっとり』にはそのニュアンスはなく、改憲もありうるという内閣の考え方が反映されたようにみえる」と語っている。

さらに、天皇のおことばは、閣議決定を経ることになっていて、今回も閣議決定で決まったものだと、何らかのチェックが入ったのではないかとにおわせる。

のっとりという言葉を辞書で引くと、基準やルールを基準にし、従うという意味だと出ている。

われわれ国民も、憲法に定められていることに従って生活しているが、その憲法が改悪されたら、嫌でも、それに従わなければならない。

天皇・皇族にとっての「自己実現」とは何か

だが、現憲法を守るというと、そこには憲法の三原則である国民主権、平和主義、基本的人権を堅持していく、それを改悪することは許さないという積極的な意味を持つことになるはずだ。

消極的な憲法護持と積極的に憲法を肯定し、それを遵守することの間には、かなりの隔たりがあると思うのは、私だけだろうか。

「国政に関する機能を持たない天皇に、国民が多くを期待することは健全ではない」という成城大学森暢平教授(朝日新聞5月2日付)の考え方もわかるが、森教授もいっているように、「国家システムとして求めているのは、あくまで記号としての天皇」だが、実際には記号ではなく人間である。「天皇・皇族にとっても、自己実現とは何か、何を為して生きるべきかは、最大の難関だと思います」(森教授)

新しい時代の天皇への国民の期待は大きい。平成の時代、天皇皇后が行動で示してきた平和を守るという意志を、どういう形で見せてくれるのか。国民の一人として見守りたい。