認知症を発症しても穏やかに暮らすために
将来の自分を守るためには、どうしたらよいのだろうか。紹介した対照的な2事例から分かるのは、認知症を発症した人への対応に違いがあることだ。
施設や高齢者住宅を選ぶ際は、この点に注目する必要がある。まず、必ず実際に見学し、「認知症を発症している人がいるか」「認知症を発症している人も穏やかに暮らしているか」、この2点を、話を聞くだけではなく、観察する。
次に、入居者とも話した方が良い。「どのようなスタッフが居るか」と聞くと、良い情報も悪い情報も教えてくれる。具体的な契約内容は管理側に確認するしかないが、日々の生活やケアについては、有益な情報が得られる。
最後に、スタッフにも「なぜこの場所で働いているのか」と質問し、前後の経歴を含めて話を聞くと、考えて行動している人か、信念を持って働いているか否かが分かる。
医療や福祉は、専門職によるサービス業だ。保険サービスであっても自費サービスであっても、“利用者がどのように生きていきたいか”を踏まえ、サポートする。その内容は、実際にサポートを提供する「人」に左右される。そして、「人」についての有益な情報は、他人任せでは得られない。
老後を穏やかに暮らせる環境を得るために必要なものは、お金だけではない。そのことを踏まえ、医療や福祉を選択していきたい。
坂本 諒(さかもと・りょう)
看護師・保健師
1991年北海道札幌市生まれ。2010年4月に北海道医療大学に進学。卒業後、総合病院で3年間勤務。2017年4月より、都内の訪問看護ステーションで勤務。医療ガバナンス研究所研究員。
看護師・保健師
1991年北海道札幌市生まれ。2010年4月に北海道医療大学に進学。卒業後、総合病院で3年間勤務。2017年4月より、都内の訪問看護ステーションで勤務。医療ガバナンス研究所研究員。
(写真=iStock.com)