「トカゲの尻尾切り」を続ける安倍首相の任命責任
「経済成長を重視する政府の狙い」だと説明するが、裏を返せばそれだけ安倍政権の経済政策が上手くいっていないことの証しである。安倍政権擁護で知られる読売社説がここまで指摘するのだか、アベノミクスは失敗であり、景気は回復していないのである。
さらに読売社説は指摘する。
「5千円札は樋口一葉から女子高等教育の先駆者として知られる津田梅子に、千円札は野口英世から細菌学者の北里柴三郎へ変わる。女性の活躍や科学技術の重要性を訴えるメッセージと言えよう」
女性の活躍も科学技術の推進も、これからの日本の社会にとって必要不可欠なテーマである。ただ安倍政権はそれらの重要性をどこまで理解しているのだろうか。日本の国に求められる課題を見極め、そして私たち国民のために解決策を探り出し、それを実行できてこそ本物の政府と言えよう。
一方で、安倍政権には驕りとゆるみが顕著だ。4月5日には国土交通省の塚田一郎副大臣が「忖度発言」の責任を取って辞任。4月10日には桜田義孝五輪相が、「東日本大震災の被災者の気持ちを傷つける発言をした」として辞任した。
安倍首相の任命責任が問われる。更迭は当然だ。だがそれではトカゲの尻尾切りである。胴体から腐りきった肝をえぐり出すような大手術が必要だ。それをやってこそ、歴史に名を残す首相となり得るのだと思う。安倍首相にはその点を考えてもらいたい。
(写真=時事通信フォト)