また白鵬か……、陳腐性は仕方がない

平成最後の本場所となった春場所。記念すべき天皇賜盃は横綱・白鵬がかっさらった。これで42回目の幕内最高優勝だ。しかも全勝。「終わってみればまた白鵬か」という陳腐性は仕方がないにしても、文句のつけようがない。

ついつい、三本締めをしてしまった白鵬。(時事通信フォト=写真)

恒例の土俵下のインタビューのとき、「平成最後なので皆さんで三本で締めたいと思います」と観客に三本締めを強いたことに苦言を呈されたようだが、そんなものは嵐の前の紙切れだ。

しかし、協会への注文がある。まず、なにゆえ、「白鵬─逸ノ城」戦が組まれなかったのか。横綱を1敗で追う逸ノ城と白鵬の直接対決をファンはなにがなんでも観たかったはずである。「なに言ってるんだよ。横綱の取組、特に後半はガチガチに決まっているから、当てたくても当てられないんだろ」という声も聞こえてきそうだが、それこそなに言ってんだ。ガチガチだろうとなんだろうと、割り返し(取組のやり直し)をすればいいのである。

2000年のまさに同じ春場所。前頭14枚目の貴闘力が史上初の幕尻優勝を遂げた。貴闘力は初日から12連勝。番付上は普通であれば横綱とは対戦しない。しかし協会審判部は13日目に横綱・武蔵丸を、14日目には横綱・曙を貴闘力にぶつけた。当該2人の横綱対戦を潰してまでもぶつけたのである。結果、貴闘力は連敗を喫したものの、千秋楽の雅山戦に勝って13勝2敗で優勝した。土俵下での男泣きインタビューは今でも語り草になっている。

だからこの春場所、千秋楽の面白くもない「白鵬─鶴竜」なんてぶっ潰して、白鵬と逸ノ城を当ててほしかった。

もう1つの注文は、優勝した白鵬の立ち合いだ。白鵬は相手と呼吸を合わせず、常に自分本位の立ち合いを強要し、絶対的優位に立つから勝つ。だから大記録を打ち立てても、その偉業を最大限に称える声が案外大きくならない。大横綱としてスケールに欠ける。