エルボー打ちは髷つかみ、拳での殴打と同じ悪質度

日馬富士の暴行事件を端緒とした大相撲の問題。ワイドショーや週刊誌などでさまざまな議論が交わされているわけだが、1人のガチガチの相撲ファンとしては「悪評も評判のうち」と思いながらその様子を見ている。そんな中、テレビや雑誌で注目されているという点で群を抜いているのが横綱・白鵬の品格問題である。

元横綱・日馬富士が不在の優勝額贈呈式。左は横綱・白鵬。(時事通信フォト=写真)

立ち合いで相手の顔を張る、強烈なカチ上げをかます、ときには猫だまし(相手の目前で柏手を打つ)を見せる。そして極めつきはエルボー打ち。これらの取り口が横綱として品格に欠けると、横綱審議委員会や相撲ジャーナリストらから物言いがついた。

横綱が下位力士と対戦するときには、ぐっと力を受け止め相手に相撲を取らせたうえで勝つ。これが横綱相撲だから、積極的な仕掛けは芳しくないというわけだ。しかも下位力士は横綱相手に上記の策を使えない。ルール違反ではないが、横綱の顔を張る力士はいない。だから横綱のやりたい放題になってしまうところにも不公平感がある。

横綱の品格云々という議論が起こるたびに、私はうんざりする。たとえば「エルボー打ちは反則負け」と決めればいいだけの話なのである。

日本相撲協会は相撲興行の主催者だ。責任者の理事長がビシッと決めてしまえばいい。やらないから「横綱の品格」なる曖昧模糊な議論が起こる。協会が断行しない限り、こういった議論は常に繰り返される可能性がある。

九州場所14日目の遠藤戦、白鵬の立ち合い一発のエルボー打ちで勝負あった。遠藤の巧みな相撲に期待していたであろうファンたちのため息がテレビ画面からも聞こえてきたものだ。髷つかみや拳での殴打など、反則負けはいくつかある。それらと比較してもエルボー打ちの悪質度はまったく遜色ない。