競争の激しい業界を生き抜くにはどうすればいいか。子役として芸能界に足を踏み入れたタレントの堺正章さんは「芸能界は、人気や立ち位置がいつなくなってもおかしくない。自分が得意なこと、好きなこと、できることを、ありとあらゆる人にアピールして、得意の種をまくことが大切だ」という――。
※本稿は、堺正章『最高の二番手 僕がずっと大切にしてきたこと』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。
全員から好かれるなんてありえない
誰かから嫌いだと言われたら、あなたはなんて答えるだろうか。
僕なら、「ありがとう」と満面の笑みを返す。芸能人という人気商売を続けて数十年、僕を好きな人も嫌いな人も大勢いる。当たり前だ。どんな素敵な人だって、世の中の全員から好かれることなんて絶対にありえない。
僕はエゴサーチをしないからわからないし気にもしないが、芸能界ではなくたって、他人のつぶやく悪口や余計な言葉が簡単に耳に入ってくる時代だ。評判を気にして傷ついている人は世の中にたくさんいることだろう。
でも、そんなものに傷つき、心をすり減らす必要なんてこれっぽっちもない。だって、好きとか嫌いに理由なんかまったくないのだから。
「はい、次っ」と切り替える方法
嫌われたって、自分のせいとは限らない。恋愛と同じで、もし仮に理由づけをされてみたところで、それは言い訳のような後付けの屁理屈にすぎない。だからそれでいちいち傷ついていたら、その時間がもったいない。人生の時間には限りがあるのだから。
自分について嫌な言葉を耳にすれば、僕だって人の子だから、そりゃあ多少嫌な気持ちにはなる。でも、そんな意味のないことは即刻忘れて、違うことに頭を切り替えるようにしている。生きていれば、他に考えなくちゃいけない大事なことがもっとたくさんあるからだ。
「はい、次っ」という調子で、頭も気持ちもすみやかにチェンジする。トイレにでも行って、あるいは外の空気でも吸って、ついでにちょっとタバコでも一服すればもう忘れられる。