森友事件に関しては、私が意図していなかった人から情報がもたらされることもありました。籠池さんからも、真摯に約束を守ることで、率直な話を聴くことができた。当事者の役人とも、関係を築いて情報を聞き出すことができた。その意味で、ようやく少しはいい記者になれたかなと」

相澤冬樹『安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』(文藝春秋)

報道から2年がたとうという現在でも、事件はいまだ謎が多い。土地の「値下げ」のプロセス。どうして公文書の改竄がおきたのか。そして、近畿財務局職員の自殺――。

「政権がどうかとか、最初から考えているわけではありません。とにかく、おかしなことが起こっているのだから、記者として真実を明らかにしたい。NHKで取材ができないのだから、辞めた。それだけです」

相澤氏は、この取材中もNHKへの批判を口にしなかった。

「NHKへの愛があるんですよね。現場にいるかつての仲間たちは素直に応援したいし、上層部にも、報道機関として踏ん張ってほしいと思っています」

相澤冬樹
大阪日日新聞(新日本海新聞社)論説委員・記者
1987年NHKに記者職で入局。2016年大阪司法キャップとなる。18年NHKを退職し、現職。
(撮影=尾関裕士)
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