ベトナム・ハノイで開かれた2回目の米朝首脳会談は「決裂」に終わった。会談結果を酷評する声が多いなか、それでも「事態を動かす」ことを選んだ2人のリーダーから学ぶことは多いと橋下徹氏は指摘する。プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(3月5日配信)から抜粋記事をお届けします――。
2019年2月28日撮影(写真=AFP/時事通信フォト)

決裂しても米朝首脳会談は交渉術の最高の教材だ

2月28日、トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長による2回目の米朝首脳会談は決裂した。日本のメディアもそうだけど、世界中のメディアがこの米朝首脳会談について一斉に評論し、多くは否定的な意見が多い。

・トランプ大統領の準備不足
・金委員長の読みの浅さ
・実務者による協議をすっ飛ばしてトップ会談に重きを置きすぎた代償
・トランプ大統領は何も考えていないバカだ

特に政治行政の経験もなく、ひたすら本でお勉強をしてきたような学者やコメンテーターに限って、会ったこともない政治家に対して「バカだ!」と人をコケ(虚仮)にしてくるんだよね。僕も散々やられたよ。

あのね、命も狙われるようなそれなりのポジションに就いて責任を持たされている者は、それが正しいのか間違っているのかは結果を見なければ分からないとしても、少なくても一学者や一コメンテーターよりも深く色々なことを考えているんだよ。そこは間違いない。自分の命にもかかわってくるんだから。

トランプ大統領も金委員長も、バカではない。金委員長率いる北朝鮮は、日本人を拉致した問題を解決していないので良く評価するわけにはいかないが、それでも金委員長がバカではないことは確かだ。批判するなら言動の中身をきちんと批判していくべきだし、また、バカと虚仮にすることなく彼らの思考プロセスというものをしっかりと把握していくべきだ。そのような姿勢を取ることによって初めて、彼らにこちらの望む言動を取らせるためには何が必要なのかを知ることができる。

他人を動かすというのは、ほんと大変なんだよ。そして他人を動かすためには、その他人の思考プロセスをきちんと把握することが必要かつ重要。他人の思考プロセスを把握せずに、単にバカだ、アホだと罵っても、その他人が動くわけがない。

学者やコメンテーターのように他人を批判すれば仕事になる人たち、また持論を述べて自分は賢いだろうと悦に入れば仕事になる人たちは、相手の思考プロセスなどを把握しようとも思わないだろう。単にその相手を腐せばいいだけだから。しかし課題を解決するために他人を動かそうと思えば、まずはその他人の思考プロセスを把握することが絶対に必要となる。その他人の思考プロセスに合わせて、こちらも次の一手を考えなければならないからね。

たとえば日韓関係が冷え切っている今、日本国内の威勢のいい政治家やインテリたちは、韓国や文在寅韓国大統領を腐すだけ。でもそうじゃなく、韓国国民や文在寅大統領の思考プロセスを把握し、彼らにこちらが望む言動を取らせるためにはこちらはどのような一手を打つべきかを考えることが、本当は必要なんだ。韓国国民や文在寅大統領の思考プロセスについては、今後改めて論じたい。

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