ルールは変えるためにあるということか。自民党の二階俊博幹事長が「党総裁は連続3期まで」と定めた党則の改正に動きだした。二階氏は「2期まで」だった党則改正の流れをつくり、安倍3選を実現させた張本人。二階氏がいなければ安倍氏は今、首相でなかったかもしれない。二階氏の新たな動きに、永田町が揺れている――。
記者会見する自民党の二階俊博幹事長=3月12日、国会内(写真=時事通信フォト)

記事配信の1時間後に、予測は現実になった

「自民党員が決めることですからね。今から申し上げるわけには参りませんが、今のご活躍からすれば、党内外、特に海外からのご支援も十分あるわけですから。この状況においては、十分にあり得ることだと思います。『余人を持って代えがたい』と言うのは問題ないと考えています」

3月12日午前、国会内で開いた記者会見で記者団から安倍氏4選の可能性を問われると、二階氏は、とうとうと語ってみせた。「今から申し上げるわけには参らない」という前置きはついているが、どう考えても4選支持表明だ。二階氏が公の席で安倍氏の4選に言及したのは初めてのことだ。

プレジデントオンラインでは、この日午前9時に「『緑のたぬき』小池都知事は再選できるか」という記事をアップ。その中で、小池氏再選の仕掛け人である二階氏が「『小池再選』の先に、さらににらんでいるものがある。『安倍4選』だ」と予測している。記事を配信した約1時間後に、予測が現実のものとなったことになる。

多数の人が予想することを、誰よりも早く口にする

二階氏は政局の潮目をみるのが抜群にうまい。田中角栄、竹下登の両首相経験者、金丸信元党副総裁、そして小沢一郎現自由党共同代表らの側近として政治経験を積んできた。80歳になって風貌は隠居のお年寄りのようになったが、長年培った政局観は衰えていない。昭和時代の先輩政治家を思い起こさせる手法は、古くさいが、そういう手法を知らない今の政治家たちにとっては新鮮で大胆に映る。

二階氏の鉄則は「誰よりも早く、勝ち馬に乗る」こと。安倍氏の再選支持をいち早く表明。党則を変えて安倍3選を可能にする流れをつくったのも二階氏。そして3月に入ってからは小池氏の再選に「全面協力」すると言っている。

多数の人が「そうなるだろう」と思っていることも、誰よりも早く口にすることで目立ち、その功労者のようにみえる。だから誰よりも早く「安倍4選」を口にすることは、ある程度予想できた。