1度でなく2度も「党の憲法」をいじっていいのか
残任期間が短くなれば公然と後任選びが始まる。だれも現職首相のことなど見なくなり、求心力は低下する。しかし「4選があるかもしれない」となると話は変わる。少なくとも21年の任期満了まで「安倍1強」を続けることが可能になるのだ。そうなれば、本当に4選をうかがう選択肢も出てくる。
最後に、再び自民党則を変えて総裁4選を可能にするような荒業が現実的なのか、という問題に触れておきたい。1度だけでなく2度までも「党の憲法」でもある党則をいじっていいのか。読者の多くも「いくらなんでも可能性は低いのでは」と思っているのではないか。
しかし、ここではあえて「可能性は十分ある」と書いておきたい。
首相の任期を政党の規則で縛るのはおかしい
3選を可能にするための16年の議論を紹介しておきたい。この時は、3選について道を開こうということでは早々と方向性が出たのだが、具体的には2案が出た。ひとつめは連続「3期9年」まで認めるという案。そしてもうひとつは、多選制限を撤廃するという案。つまり、どれだけでも長く続けられるという案だ。
多選制限の撤廃は、乱暴に見えるが、必ずしもそうではない。行政府の長である首相の任期を政党の規則で縛るのはおかしいという議論は政治学者の中でもあるのだ。だから党内で4選容認、もしくは多選制限の撤廃を主張する声が多数を占めることは、大いにあり得る。だからこそ二階氏が観測気球を揚げた。
小池氏は「緑のたぬき」と呼ばれることがある。かつて自身が立ち上げた希望の党のシンボルカラーが緑だったからだ。この表現を拝借すれば二階氏は元祖・「古だぬき」といったところか。都庁の「緑のたぬき」と自民党本部の「古だぬき」。2人(2匹?)のたぬきの腹芸は、当分の間目が離せない。
(写真=時事通信フォト)