党内の偽らざる感想は「いくら何でも早すぎる」
この日の発言を受けて党内では「二階さんらしい話」「彼は何を言っても許されるから」「驚くような話ではない」という声が聞こえてくる。ただし、安倍氏の総裁任期が切れるのは2年半先の2021年9月。「いくら何でも早すぎる」というのも、党内の偽らざる感想だろう。
二階氏は今、少々焦っている。党内では二階氏について「会議中に居眠りをしている」とか「脈絡のない話をすることがある」など「老害」を強調するネガティブキャンペーンが張られる。80歳の幹事長に対し世代交代を求める声も公然と出ている。
その動きに抗していくには、二階氏主導で政治テーマを作り続けていくしかない。だからこそ小池氏へのラブコール、安倍氏の4選支持という発信を連発しているのだ。長らく民主党に籍を置き自民党を攻撃し続けてきた細野豪志氏を二階派入りさせたのも、自転車の事故が原因で引退表明した谷垣禎一前総裁の政界復帰を重ねて働き掛けているのも「二階氏発の発信」を意識した行動と考えていいだろう。
もし4選可能になれば、安倍氏は24年9月まで首相に
もちろんハレーションも起きる。しかし、それは想定内。党内で論争を起こし、結果として自分が主張した通りになれば、求心力を維持できると二階氏は考えている。ズバリ言えば安倍4選論は、幹事長として延命策のひとつなのだ。
当然ながら「ポスト安倍」候補たちは面白くない。石破茂元幹事長、岸田文雄政調会長らは、もともと18年に安倍氏が引退し、自分が総理・総裁の座につくスケジュールを描いていた。今ごろは官邸の主になっているはずだった。それが3選可能になったことで、目標は3年後の21年に先延ばしになった。
もし4選可能になれば、安倍氏は24年9月まで首相を続けることができる。24年というと石破氏も岸田氏も67歳。もう首相としての適齢期ではなくなっている。
追い掛けても追い掛けても目標が逃げていく。まるで「逃げ水」のようだ。
安倍氏は4選を認めるべきだという意見が出ることは大歓迎だ。安倍氏自身はまだ、4選を目指すと決めてはいない。今のところは21年に退任することを基本に考えている。その安倍氏にとって1番警戒するのは、任期が近づくことによって自身がレイムダック(死に体)になっていくことだ。