5月からの新しい元号は「令和」と決まった。そんな中、安倍晋三首相の周辺から新しい政治カレンダーが聞こえてきた。今夏の参院選後、秋までに衆院を解散するという内容だ。今月には統一地方選もある。主要3選挙を「令和元年」に集中させる狙いとは――。
新元号「令和」を発表する菅義偉官房長官=2019年4月1日午前、首相官邸

衆参同日選は「99%ないとはいえる」

政界では昨年末ごろから、今年7月の参院選にあわせて衆院を解散して衆参同日選が行われるという観測があった。当時は、安倍氏とプーチン・ロシア大統領による北方領土交渉が進展する期待が高まっていた。その成果を前面に掲げて同日選に持ち込めば両院で圧勝し、悲願である憲法改正につなげることができるという読みが安倍氏周辺にあったのだ。

しかし、その機運は少ししぼんだようだ。菅義偉官房長官は3月31日に放送されたラジオ日本の番組で同日選の可能性に触れ「それはない。解散権は首相の専権事項なので100%とはいえないが99%ないとはいえるかもしれない」と語っている。

「解散のタイミングと公定歩合についてはウソをついてもいい」という政治の世界。仮に「100%ない」と言っても鵜呑みにするわけにはいかないが、安倍氏は同日選を選択肢から外そうとし始めているのは事実のようだ。実際、菅氏はラジオ番組で司会者から2017年の衆院解散前の政治情勢との違いを聞かれ「当時と今は違うような気がする」と語っている。

同日選が遠のいている理由は3つある。1つは日ロ間の領土交渉が当初の思惑通り進まず、行き詰まっていること。2つ目は、連立のパートナーである公明党が同日選に強い拒否反応を示していること。

そして3つ目が1番大きな理由なのだが、これは少し後に紹介したい。