米国と中国の手綱を取る芸当は無理だ
読売社説はさらに日本の役割を指摘していく。
「日本は、各国首脳との会談や、先進7か国(G7)、6月に大阪で開かれる主要20か国・地域(G20)などの会議で、米中対立を緩和させるための議論を主導すべきだ。孤立しがちな米国と各国の仲介も日本の役割となろう」
「中国の強権的な拡張路線は、曲がり角に来ている。このままでは行き詰まることを、日本は習氏ら指導部に指摘すべきだ」
「中国が対米関係の悪化で、対日外交に意欲を示す今は、日中が率直に話し合える機会である」
読売社説の指摘は的を射ているだろうが、やはり問題は安倍首相の力量だ。北方領土の返還交渉でロシアのプーチン大統領に手玉に取られ、交渉自体を河野太郎外相に丸投げするようなやり方では国際社会から相手にされなくなる。
基本的に安倍政権を支持するスタンスを取る読売社説としては、安倍首相を持ち上げたいのだろうが、米国と中国の間に入って両国の手綱を取るような芸当は、安倍首相にはできまい。そのあたりを社説を担当する論説委員たちは、どう考えているのだろうか。一度、彼らの論説会議を聞いてみたい。
(写真=時事通信フォト)