やる気のない部下を秘密兵器にできるか

リーダーがいろいろと心を尽くしても、中にはまったく変化を見せないメンバーがいるものです。残念ですが、これは自然の流れと言えます。「2:6:2の法則」というのを耳にしたことがあるでしょうか。働き者のイメージの強い働きアリの集団でさえ、よく働くアリは2割のみ。残りの6割は普通に働き、残りの2割はろくに働かずフラフラしているというものです。

組織でも同様に、この法則が当てはまります。つまり上位2割の人はよく働き、中位6割の人は普通に働き、下位2割の人は能力を発揮せず組織全体の足を引っ張っているというものです。仮にリストラなどして下位2割の人を取り除いたとしても、上位と中位にいたはずの8割から、下位に転落する人材が自然発生的に生まれてしまうというから驚きです。

「不真面目な役割を演じている」と考える

私がチーム向けに行なうコーチングでも、どうしても不真面目な選手が一定数いるものです。そんなときはいつも、心の中でこう思うようにしています。「彼らは今、不真面目な役割を演じてくれているだけ」「彼らが能力を発揮する場所は“今”ないだけで、ゆくゆくは“秘密兵器”として活躍をしてくれるはずだ」と。

実際には、悠長にかまえていられないリーダーがほとんどだと思いますが、それでも能力発揮を待つのは、「下位2割」の人たちがチームを救った経験があるからです。

ある大学のバレーボール部に所属するSさんは、いつも気だるそうにしていました。チームが全国大会に向けてまとまろうとしているときも、自分はスタメンではないからと、協力的ではありません。そういうメンバーがほかにも何人かいました。かといって私も、彼らのフォローだけをしているわけにはいきません。当時、そのチームには40人もの部員がいましたから、全員に均等に、100%の力を注ぐことは不可能です。