「収容所の中でセックスはできるのか?」「不倫はあるのか」
ここ数年、韓国で脱北者のユーチューバーが現れはじめている。
配信は北にいた頃の経験をもとに、視聴者からの質問に答えていくスタイルで、「収容所の中でセックスはできるのか?」「不倫はあるのか」といったエロ事情から、「父親が息子の肉を食べた」という凄絶なものまで北の詳細な生活事情を暴露する。南北関係についての見解を述べることもある。
元北朝鮮住民自身による語り口はメディアで報じられる内容よりもリアリティがあり、それぞれ数万人から数十万人のチャンネル登録者がいる。
彼らを観察していると、それぞれ自称するエピソード別にタイプがおおまかに二分される。「悲劇の苦労人型」と「カジュアル越境型」である。
悲劇の苦労人型は文字通り、北で塗炭の苦しみを味わい、死線を越え命からがら韓国に来たと主張する人々だ。
中でも目立っているのが、1998年から3度の脱北を経て2005年に韓国入りしたソン・ポムヒャンだ。韓国のTV番組「今、会いにゆきます」で告白した壮絶な脱北の経緯が話題となり、一躍有名人となった。ルックスとトークスキルを兼ね備え、プライベートでは7歳年下のイケメン夫と乳飲み子を持つキャラクターが人気を博し、チャンネル登録者数は脱北ユーチューバーの中でもダントツの25万人を誇る。脱北の経緯について映画化のオファーが来たことも。