各ジャンルで「学歴」はどんな影響を及ぼしているのか。今回、それぞれのジャンルで強い大学を徹底調査した。第1回は「大企業女性役員」について――。

※本稿は、「プレジデント」(2018年10月1日号)の特集「高校・大学 実力激変マップ」の掲載記事を再編集したものです。

米国で女性役員が多い本当の理由

安倍政権が「女性活躍推進」を重要政策に掲げてから5年。内閣府によれば、その間に上場企業の女性役員数は約2.4倍以上に増えた。では、どの大学出身者が多く登用されているのか。日経平均銘柄225社の執行役員以上で、常勤の女性役職者の出身大学をランキングにした。

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1位は慶應義塾大学で10人、2位が早稲田大学で8人。早慶が上位にくる点は、大企業社長編と変わらない。目立つのは、3位に海外大学がランクインしたこと。ただし、日本人が留学したケースは7人のうち2人だけで、あとは外国籍の女性だ。トレンドマイクロ代表取締役社長エバ・チェン氏のようにもともと会社の共同創業者だったり、大日本住友製薬執行役員パトリシア・アンドリュース氏のように米国で買収した子会社のCEOが兼務しているケースもあるので、「社内で実績を積んで役員に出世した」という一般的な登用とは異なるものも含めた数字であることに留意したい。

5位には上智大学、津田塾大学と外国語教育に強い大学が並んだ。大企業社長編では、外国語学部や文学部の出身者がほとんどいなかったのとは対照的だ。

ただ、ランキングを見てわかる通り、女性役員の絶対数がまだまだ少ない。今回調査した225社で、女性役員は103人。少なくとも半数以上の会社で女性役員がいないことになる。

人材採用のプロで、企業の女性活躍推進支援を手がけることも多い森本千賀子氏は、「女性役員の数が増えるには、まだ時間がかかる」と話す。

「大企業の女性役員は40代後半から50代が中心ですが、この世代が20代や30代の頃は育休制度さえなかった会社も多く、そもそもこの年代まで働き続けている女性の母数が少ない。だから企業が女性役員を増やしたくても、物理的に社内に人がいないのです。外部からスカウトしようにも日本企業はどこも同じ状況なので、結果的に外資系出身者や海外の人材を連れてくることになる」