人を中心に置き、「ローカル性」を尊重する
──印象に残っている仕事は。
【澤田】土木工学科出身なので最初は電柱や鉄蓋、マンホールなど所外設備の開発を担当し全国の鋳物メーカーを見学させていただいたり、支店の課長時代はクレームで月の3分の1は深夜に起こされて現場に駆け付けたり。米国では事務所の開設から取り組み、東京・渋谷で創業支援を手掛けたりもした。前任者がいない仕事が多かったので、思い切り取り組むことができた。
──前任者がおらず、多岐にわたる業務を手掛けられた秘訣は。
【澤田】まずどれだけ自分が知らないかを認識する。大阪弁で言うと「ええ格好をしない」。相手の話を聞き、なぜそういう構造になっているのかを調べ、計画を立てて変えていく。反発を受けることもあるがデータを集めて見える化し、例えば「全国や大阪平均と比べ我々の工事量はこの程度だ」と指摘すれば、みんなプロなのでどうすればトップになれるかと考えてくれる。前提として自分が責任をもって誠実に業務に取り組み、信頼を得なければうまくいかない。
──海外事業を推進していくためのポイントは何か。
【澤田】国を問わず、我々の一番の財産は人。デジタル化が進展する世の中でお客様のデジタル化を支援しながらも、最後の決め手は人になる。人を中心に置く考え方をベースにローカル性を尊重し、ローカルに多くの権限を持たせた運営をしていく。
──人を中心に置くとは、具体的にはどういうことか。
【澤田】エキスパート人材に来ていただき、定着率を高める構造にしなければいけない。マネジメント側が働き手にとってよい環境をつくる「働かせ方改革」が重要だ。経営者がコミュニケーションをとって考えを伝えつつ、社員をフェアに評価し尊敬しあえる仕事のプロセスをつくる必要がある。