AV男優は「人手不足」、ただし高難度

むしろ、AV業界にはもっと人材不足で貧困脱出に向いているかもしれない業種があるのだという。「AV男優ですよ。絶対数が少ないもん。はっきり言って、AV女優は可愛かったら誰でもなれるんです。CGでも整形手術でも駆使すればどうにでもなります。でも、男優は監督の指示を理解して、実践して、絵を作らなければいけないので、ものすごく難しい専門職なんですよ」

タカ大丸(著)『貧困脱出マニュアル』(飛鳥新社)

実を言うと、私はAV男優の難しさを痛感したことがある。恥を忍んで告白するが、昔あまりに仕事も金もなくてAV男優に応募したことがあった。たまたま某大手AVプロダクションで募集をかけていて、履歴書を送ったことがあった。書類審査は通ったらしく、次の段階へ進んだのだが、そのとき突きつけられた課題が「勃起したペニスを写メで撮って送ってください」だった。

結論だけ言うと、その写真を送ることはなかった。いや、送れなかった。理由は簡単で、携帯の前で勃起させることができなかったからだ。自分自身の携帯の前で勃たせられないのに、多くのスタッフやビデオカメラがある前で勃起するはずがないではないか。当時人気絶頂だったAV女優と絡んでみたかったのだが、全然ダメだった。

「そりゃあね、家で明かりを暗くして好きなAV女優のビデオを見てというなら誰でもできるよ。でもね、知らない人が沢山いる前で照明でガンガン照らされて、女の子は全然タイプじゃないしアソコが臭かったりするんですよ。AV男優って頭よくないとできない、ものすごく難しい仕事ですよ」

AV業界のピラミッド構造

そこで、マヌエルにAV男優・女優それぞれのピラミッドについて解説してもらった。まずは女優から。

「AV女優は3段階に分かれていますね。一番下が企画女優で、大人数で出演する無名の人たちですね。カバーに名前も載らない人です。1日で数千円から4万円くらいですね。その上が企画単体、通称キカタン。女性ひとりで出演するクラスで、ギャラは10万~30万円くらいかな。一番上が単体女優。これは1本30万円を超えます。ただ、みんなが企画女優から少しずつ上がっていくという感じではなく、大切なのは素材です。可愛くてスタイルがいい娘は最初から単体なんですよ。ある意味で生まれつきで決まっている感じで、努力したから単体になれるというものでは全然ありません」